After Effects(アフターエフェクト)の使い方とできること
動画制作テクニック
BLOGブログ
ポストプロダクション(ポスプロ)の理解は、映像制作に携わる人間に欠かせません。この記事では、ポストプロダクションの仕事内容や、数々のポストプロダクションスタジオについて解説・紹介します。映像編集や音編集、エフェクトなどの具体的な業務内容について知識・情報を得て、就職先や発注先の検討に役立ててください。
映画やCM、PVなどの制作プロセスは、以下の3つに分けられます。
・プリプロダクション:撮影までの企画・準備
・プロダクション:撮影やCG素材制作
・ポストプロダクション:撮影後の作業
撮影後には、データやフィルムに含まれる映像・音声編集、加工などを行います。これら撮影後の仕上げ作業を総称してポストプロダクションと呼びます。また仕上げ作業を専門に行う会社やスタジオなどを指す場合もあり、略称は「ポスプロ」です。
ポストプロダクションでは、映像・音声の最終調整を行い、公開可能な状態まで仕上げなければなりません。一度に大量のデータが持ち込まれる場合などでは、ポストプロダクションが長時間に及ぶこともあります。
ポストプロダクションの業務内容はさまざまですが、大別すると映像編集と音編集の2つです。それぞれの内容について解説します。
映像編集(Electrical Editing、EED)は、撮影された映像素材について、不要な個所をカットしたり、いくつもつなぎ合わせたりする作業です。担当エディターやオペレーターは、制作者・ディレクターの指示に従い、映像の加工・編集を行います。担当者には、編集に必要な専門的知識・技術や品質管理能力、構成・調整するセンス、作品に対する理解力などが求められます。
映像編集の方法は、リニア編集とノンリニア編集に分類できます。
リニア編集とは、映像が記録された素材・テープなどを加工し、作品として完成させる作業です。2台以上の業務用ビデオデッキ・編集機を使い、素材テープから納品用テープに記録しながら編集を行います。
テープに直接記録・編集するため、スピーディーな処理が可能であり、テレビ番組の編集などで多用されています。
ノンリニア編集とは、映像が記録された素材・テープをデータ化したうえで、コンピューターで編集する作業です。専用ソフトを使って編集した後、納品用のテープに書き出します。
データ化した映像をコンピューター内で操作するため、リニア編集に比べて複雑な加工・修正も実行しやすい特徴を持ちます。
音編集(Multi Audio、MA)とは、音響・音声を編集し、映像へ追加する作業です。具体的な業務内容は、「効果音・ナレーション・音楽を加える」「音量・音声・音質を調整する」などです。また、ノイズなどを取り除く作業なども含まれます。
各種機材を使用しつつ緻密な調整を行うため、音に関するセンスや技術が求められます。また、映像にフィットする音響編集を行うためには、映像に関する知識も必要です。
映像作品に光・液体・炎などの特殊効果を盛り込む作業が、エフェクトです。作品によっては、魔法などの超自然的な現象を表現する場合もあります。適切なエフェクトによって、映像の迫力や臨場感をアップさせ、作品全体の質を向上させられます。
一般に、エフェクト制作を担当するのは専門のCGクリエイターやVFX(Visual Effects)クリエイターです。基本的な2D・3Dエフェクト機能のほかにも、流体シミュレーションなど多くの機能を持つ専用機材を用いて作成されます。エフェクト制作に携わるには、複雑な専用ソフトを使いこなすスキルや知識のほか、発想力や美的センスなどが必要です。
ポストプロダクションにおける業務は、前述の映像・音編集、エフェクト制作だけではありません。営業スタッフや事務スタッフ、編集アシスタントなどの多くの職種が存在しています。
営業スタッフは、制作会社・監督などの依頼や要望を受ける窓口となります。具体的には、予算・企画の立案や、スケジュール管理などを行います。したがって、自社クリエイターの力量や機材スペックの把握に加えて、映像・音編集の知識や業界の動向など、さまざまな分野の知識が必要です。
事務スタッフは、伝票処理や請求書作成、電話応対などの作業を行います。編集アシスタントは「エディターの下積み期間」でもあり、エディターのサポートはもちろん、作業前後の機材のメンテナンス・管理など、幅広い業務を任されます。
ポストプロダクションスタジオごとに、得意分野・専門分野があります。以下では、大手ポストプロダクションスタジオ12社を紹介するので、それら特徴・特色を押さえ、就職先や依頼先の選定に役立ててください。
株式会社博報堂プロダクツは、博報堂グループのポストプロダクションスタジオです。ハイレベルのクリエイターがそろっており、映像編集や3DCG映像制作、各種広告映像素材プリント・コピーを専門分野としています。
最新のソフト・機材、クリエイターたちの高い技術によって、最高品質の映像を仕上げます。年間1,000本以上のテレビCMを制作しており、実績も豊富です。特に自動車CG制作の品質は国内外から高く評価され、欧米の優れたプロダクションと競うほどです。
博報堂の拠点に編集設備を置き、所属クリエイターと連携することで、高品質の映像をスピーディーに制作・編集します。
アンカーテキスト:博報堂プロダクツ
https://www.h-products.co.jp/
株式会社オムニバス・ジャパンは、編集やCG、MAやドーム映像、AR/VRなどを行うクリエイティブプロダクションです。
映像作品だけでなく、アプリ不要のARサービスやCM素材搬入の納品サービスなども開発・提供しています。CMやOOH、配信系コンテンツなどのさまざまな映像作品を年間4,000本以上手掛けており、社員数も多く、国内に複数の拠点があります。
オムニバス・ジャパンの映像コンテンツとして有名なのが、新宿東口駅前広場に設置した「新宿東口の猫」です。錯視3Dを利用しており、リアルで巨大な猫が動いているように見えます。SNSで拡散されて話題になり、海外メディアでも取り上げられました。
アンカーテキスト:オム二バス・ジャパン
https://www.omnibusjp.com/
麻布プラザ株式会社は、多数の有名なテレビ番組の映像編集や音響効果に携わっている、大手のポストプロダクションです。月に約50本の番組制作をしており、テレビ以外のメディアや動画も手掛けています。編集室・MA室などの設備も充実しており、放送機材レンタルサービスの提供も行っています。
近年は、社会情勢の変化に合わせ、リモート編集スタイルを充実させています。各所のメンバーたちが適切にコミュニケーションを取りつつ、制作プロジェクトを効率的に進めます。
アンカーテキスト:麻布プラザ
https://az-p.net/
ソニーPCL株式会社は、映像編集やカラーグレーディング、AR/VR、ソフト製作サービスを行うポストプロダクションです。元々は映画専門現像所でしたが、ソニーグループの一員となり社名を変更し、ポストプロダクション業務も始めました。
現在は最先端技術を駆使して、映画やアニメーション、ゲームなどさまざまなジャンルの映像制作を行っています。体験型映像コンテンツや、高解像度・高画質技術、立体音響などの高度な技術や表現方法を用いる点が特色です。また都内の高円寺には、アニメーションの編集に特化したスタジオを構えています。
アンカーテキスト:ソニーPCL
https://www.sonypcl.jp/
レスパスビジョン株式会社は、映像や映画製作、ミュージックビデオやCMに携わるビデオポストプロダクションです。映像編集、MA、カラーグレーディングやCG、出張編集などの業務を幅広く行っています。
大きな特徴のひとつは、業務用ファイル仕分けアプリや、「動画から画像付きリストを自動作成するツール」などを自社開発し、ソースコードを有料・無償で公開していることです。また人物用全身3Dスキャンシステムも提供しており、最速で1/2000秒の高速閃光で撮影可能です。
アンカーテキスト:レスパスビジョン
https://www.lespace.co.jp/
株式会社ピラミッドフィルム ピースリー事業本部(PTHREE)は、テレビCMを中心に、映像編集やMA、CGやDITなどを手掛けています。オフライン編集室はもちろん、作業内容に応じて各ソフトウェアを選択可能なワークルームなどまで完備しています。
よりクリエイティブな映像制作を担うため発足された「クリエイティブユニット」は、映像表現に特化した企画演出を行っています。通常のポストプロダクション業務の枠にとらわれず、企画演出から仕上げまで一貫した作業過程を提供し、最短のプロセスで最善の結果を実現することを目指します。
アンカーテキスト:ピースリー事業本部
http://www.pthree.ne.jp/about/
株式会社クープ(qooop, Inc.)は、CMや映画・パッケージ、プロモーションビデオやライブ映像などを手掛ける総合ポストプロダクションです。2022年10月にキュー・テックとポニーキャニオンエンタープライズの合併により発足しました。
一般的なポストプロダクションや音響・字幕制作はもちろん、公共施設や企業のロビーで展示される映像システムの設計・施工・開発、さらに古いフィルムの再生まで幅広い業務が可能です。ハイレベルの技術・経験を持つクリエイターが高性能の機材を駆使し、企画・制作から品質管理までトータルで管理しています。
アンカーテキスト:クープ
https://www.qooop.co.jp/
株式会社三和映材社は、映像編集やMA、音楽レコーディングなどを手掛ける総合ポストプロダクションです。1977年に誕生した三和映材社ビデオ部が、2009年からは三和映材社ポストプロダクション部となり、事業を行っています。
撮影・映像機器の総合レンタルサービスを提供しており、ハイレベルの機材を備えたノンリニア編集室も5室用意しています。4K編集に対応する部屋まで完備されており、ニーズによって各設備を選択できます。映像制作において撮影から仕上げまでの一貫したサポートをしています。
アンカーテキスト:三和映材社
https://www.sanwa-group.com/service/postpro/index.html
株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(株式会社IMAGICA Lab.)は、多くの社員とスタジオを有する、国内最大規模のポストプロダクションです。映像・音声編集や映像技術サービス・配信サービス、映像の修復サポートやCG、グラフィックデザインの企画・制作など、業務内容は多岐にわたります。
グループ会社と連携することで、映像の撮影から配信・流通までの各プロセスに対応します。実績・ノウハウが豊富なクリエイターたちが、最先端の技術を使って生み出す作品は業界でもトップレベルの品質です。各拠点間で連携して作業することも可能で、多様化するユーザーのニーズに応え続けています。
アンカーテキスト:IMAGICA Lab.
https://www.imagicalab.co.jp/
株式会社サウンド・シティは、音声録音や映像編集、MAやグレーディングを行う総合ポストプロダクションです。音響面の制作に強みを持っていますが、映像編集も請負っています。レコーディングエンジニアによるマネジメントの提供や、レコーディングスタジオ運営を行っており、複数の録音スタジオには充実した機材・楽器が備わっています。
都内の麻布台には、国内有数のスタジオを所有しています。アコースティックなサウンドに最適化された石造りの環境で、55人編成のフルオーケストラを同時録音できます。
アンカーテキスト:サウンド・シティ
https://www.soundcity-w.com/music/
株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ (略称NiTRo)は、技術総合プロダクションです。テレビ番組や映画・CMなどの製作技術関連業務や、撮影・収録・CGなどの技術提供をしています。
さらに、映像・音声制作のコンサルタントや地上波の放送運行業務、通信衛星を使ったイベントへの技術提供なども行っており、放送を始めさまざまな分野の業務に携わっています。
拠点にはリニア編集室とノンリニア編集室、MA室を備えており、一貫した作業が可能です。
アンカーテキスト:日テレ・テクニカル・リソーシズ
https://www.nitro.co.jp/
今日では、ポストプロダクションを請け負う企業も多く、依頼時には選定に苦労する方も少なくないでしょう。映像制作者マッチングサイト「ビデオブリッジ」は、発注・受注どちら側でも無料で利用可能です。ポスプロ業務をはじめ映像制作業務を依頼・受注したい方は、ぜひチェックしてみてください。
(URL:https://videobridge.jp/)
ポストプロダクション(ポスプロ)の仕事内容とは?
==写真・イラスト==
Photo AC:https://www.photo-ac.com/
illust AC:https://www.ac-illust.com/